「養育費の振り込みが止まったのに、相手は引っ越して連絡がつかない」「お金を貸した相手の行方が分からない」——法的に請求する権利があっても、相手の所在が分からなければ手続きは進みません。実は、こうした場面で相手の住所を調べる力を持っているのが弁護士です。この記事では、弁護士ができる所在調査の方法と費用の目安、依頼の流れ、探偵との使い分けを整理しました。
結論:弁護士は、受任した事件の処理に理由がある場合、住民票・戸籍の附票の職務上請求や弁護士会照会などで相手の所在を調べられます。費用は取得実費が1通数百円程度、照会は1件数千円〜1万円程度が目安で、これに事件全体の弁護士費用が加わります。この記事では使える手段、費用の考え方、養育費・債権回収での流れ、探偵との使い分けを解説します。
弁護士ができる所在調査の方法
弁護士には、一般の個人には使えない調査手段が認められています。代表的なものは次の4つです。

| 手段 | 内容 | 使える場面 |
|---|---|---|
| 職務上請求 | 住民票の写しや戸籍の附票を請求 | 受任事件の処理に理由がある場合 |
| 弁護士会照会(23条照会) | 弁護士会を通じて企業・団体に情報を照会 | 携帯電話番号から契約者情報を調べる等 |
| 調査嘱託・送達場所の調査 | 裁判所を通じた照会 | 訴訟手続きの中で |
| 第三者からの情報取得手続 | 裁判所経由で勤務先・預貯金等の情報を取得 | 債務名義を得て強制執行を目指す場合 |
中心になるのは職務上請求です。相手の旧住所が分かっていれば、住民票の除票や戸籍の附票をたどって現住所に行き着けることが多く、転居を重ねていても追跡できます。旧住所すら不明で携帯電話番号だけ分かる、といった場合には、弁護士会照会で通信会社に契約者の住所を照会する方法が検討されます。
重要なのは、これらはあくまで「事件の処理に理由がある場合」に使える手段だという点です。単に居場所を知りたいだけの依頼で使うことはできず、養育費請求や貸金返還請求といった事件の受任とセットになります。
費用の目安|実費と弁護士報酬を分けて考える
弁護士に依頼した場合の費用は、「調査の実費」と「弁護士報酬」に分けて考えると見通しがよくなります。
- 実費:住民票や戸籍の附票の取得は1通数百円程度。弁護士会照会は1件あたり数千円〜1万円程度の手数料が目安です。
- 弁護士報酬:所在調査は事件処理の一部として行われるため、養育費請求や債権回収事件の着手金・報酬の中に組み込まれるのが一般的です。金額は事件の内容と事務所により大きく異なります。
つまり「所在調査だけの料金表」は基本的に存在しません。見積もりの際は、調査部分の実費がどう扱われるか、着手金に何が含まれるかを確認しましょう。なお、収入や資産が一定基準以下の方は、法テラスの民事法律扶助で費用の立替えを受けられる場合があります。初回相談を無料とする事務所や、自治体の無料法律相談も活用できます。
私は家族の行方が分からなくなったとき、警察への届出と並行して弁護士の無料相談にも行きました。「何を実現したいか」で使える手段が全然違うと教わったのが印象に残っています。お金の請求が絡むなら弁護士、安否や生活実態の確認なら別の手段、と整理してもらえて、頭の中の混乱がほどけました。
養育費の未払いで所在を調べる流れ
養育費の請求は、弁護士の所在調査が最も力を発揮する場面のひとつです。おおまかな流れは次のようになります。

- 相談・受任:未払いの経緯、調停調書や公正証書の有無を確認
- 所在調査:職務上請求で住民票・戸籍の附票をたどり現住所を特定
- 請求・調停:内容証明での請求や、家庭裁判所での調停・審判
- 強制執行:債務名義があれば、給与や預貯金の差押えへ
2020年施行の改正民事執行法で、第三者からの情報取得手続が整備され、裁判所を通じて市区町村や年金機構から相手の勤務先情報の提供を受けられるようになりました。「住所どころか勤務先も分からないから泣き寝入りするしかない」という状況は、以前より打開しやすくなっています。
債権回収や相続でも構図は同じです。貸金の返還請求では時効の管理が絡むため早めの着手が重要ですし、相続では連絡の取れない相続人の所在確認が遺産分割の前提になります。
自分のケースで何から手を付けるべきか、調停調書や公正証書の有無も含めて、まずは無料相談で状況を整理してもらうのが早道です。





