「探偵 ○○県」と検索したのに、出てくるのは東京や大阪の大手ばかり。地元の事務所は何社あるのか、そもそも存在するのかさえ分からない——そんな経験はありませんか。実は、調べても答えが出ないのには理由があります。都道府県別の探偵の数を示す統計は、公的にはどこにも公表されていないのです。そこでしらべごと編集部は、当サイト掲載データベース(届出番号確認済み212社・2026年8月時点)の所在地を都道府県別に集計し、公的データと重ねて「探偵の地図」を描いてみました。
結論:都道府県別の探偵の数が分かる公的統計は、現在公表されていません。当サイト掲載の212社を集計すると、東京に38社(17.9%)が集中する一方、京都府は掲載0社、掲載1〜2社の県も12県ありました。2016年の経済センサスでも東京集中(13.5%)は同じ構図です。ただし、地元に探偵が少ない県でも全国対応の事務所に依頼すれば調査は可能です。この記事では独自集計で偏りを可視化したうえで、「地元で探すか、全国対応に頼るか」の判断軸まで解説します。
都道府県別の探偵の数は、公的に公表されていない
探偵業は、探偵業の業務の適正化に関する法律(出典: e-Gov法令検索)に基づき、公安委員会への届出が必要な業種です。警察庁は届出状況の全国集計を公表しており、2025年末時点の探偵業の営業所は全国で7,354とされています。ところが、この統計に都道府県別の内訳はありません。都道府県警のレベルでも、管内の探偵業者数を一覧で公表しているところは見当たりませんでした。
つまり、「自分の県に探偵が何社あるのか」を公的資料で確かめる方法は、現在存在しないのです。この「公的データの空白」を少しでも埋めるために、本レポートでは2つのデータを使います。
- 当サイト掲載データベース:届出番号確認済み212社の所在地集計(2026年8月時点)。当サイト掲載分に限るため、全国の網羅ではありません
- 経済センサス-活動調査(総務省・経済産業省):産業細分類「興信所」の民営事業所数(2016年)。探偵業を都道府県別に含む唯一の公的系列ですが、時点が古く、探偵以外の信用調査業も含む分類です
定義も時点も異なる2つの物差しなので、数字を直接比べることはできません。それでも、両方を並べることで「探偵がどこに偏っているか」の傾向はつかめます。
当サイト掲載212社の集計:東京だけで全体の17.9%
まず、当サイト掲載データベース(届出番号確認済み212社・2026年8月時点)の所在地集計です。掲載社の上位県は次のようになりました。
| 順位 | 都道府県 | 掲載社数 |
|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 38社 |
| 2位 | 神奈川県 | 9社 |
| 2位 | 大阪府 | 9社 |
| 4位 | 北海道 | 7社 |
| 5位 | 宮城県 | 6社 |
| 5位 | 茨城県 | 6社 |
| 5位 | 愛知県 | 6社 |
| 8位 | 埼玉県 | 5社 |

東京は212社中38社。全体の17.9%が東京に集まっている計算です。2位の神奈川(9社)の4倍以上であり、1つの都道府県として突出しています。神奈川県内の掲載社は神奈川県の探偵事務所一覧で確認できます。
興味深いのは、人口100万人あたりに直したときの顔ぶれです。人口推計(2024年10月1日現在)を分母にすると、東京2.68社・宮城2.67社・茨城2.14社となり、宮城が東京とほぼ並びます。絶対数では東京一強でも、人口あたりで見ると地方の中核県が健闘している——単純な「都会ほど多い」だけでは説明できない分布です。
なお、当サイトは以前、掲載各社の公式サイトの情報公開状況を調べた218社の独自調査を公開しています。今回の212社は、そのうち届出番号まで確認できた掲載社の集計であり、対象の数え方が少し異なる点をお断りしておきます。
2016年の経済センサスでも、東京集中は同じだった
「当サイトの掲載が東京に偏っているだけでは?」という疑問はもっともです。そこで公的データと突き合わせます。経済センサス-活動調査(総務省・経済産業省)によると、2016年時点の産業細分類「興信所」の民営事業所は全国で547。上位は次のとおりでした。
| 順位 | 都道府県 | 事業所数(2016年) |
|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 74(全国の13.5%) |
| 2位 | 大阪府 | 44 |
| 3位 | 北海道 | 37 |
| 4位 | 愛知県 | 35 |
| 5位 | 福岡県 | 27 |
日本標準産業分類では、私立探偵社などの探偵業はこの「興信所」に含まれており、都道府県別に探偵業を直接含む公的な数字はこの系列が唯一です。その2016年の時点でも、東京のシェアは13.5%で全国1位。当サイト集計の17.9%とは分母も定義も違いますが、「東京に大きく偏る」という方向は10年前の公的データでも一致していました。
ただし重ねて注記すると、この数字は2016年と古く、興信所分類には企業信用調査などの事業者も含まれ、会社単位ではなく事業所単位の集計です。当サイトの212社集計とは物差しが違うため、増減の比較はできません。あくまで「偏りの構図が昔から同じ」ことの傍証としてご覧ください。
京都府は掲載0社。掲載1〜2社の県は12県
偏りの反対側、つまり「地元に探偵がほぼいない県」を見ていきます。当サイト掲載データベースで掲載社数が少ない都道府県は次のとおりです。
- 掲載0社:京都府(47都道府県で唯一)
- 掲載1〜2社:秋田県・山形県・富山県・福井県・山梨県・長野県・鳥取県・島根県・山口県・高知県・佐賀県・長崎県(12県)

意外に思われるかもしれませんが、掲載0社は地方の小さな県ではなく京都府でした。念のため強調すると、これは「当サイトの掲載データベースに京都府所在の会社がない」という意味であって、府内に探偵業者が実在しないという意味ではありません。警察庁公表の届出営業所は全国で7,354あり、掲載外の事業者は各地にあります。それでも、依頼先を比較検討しようとしたときに候補が見つかりにくい県があることは確かです。京都府で探す場合の選択肢は京都府の探偵ページにまとめています。
一方で、悩みの側に県境はありません。人口動態統計(厚生労働省)によると、2024年の婚姻は全国で485,092組。結婚は全国どこでも生まれ、夫婦の悩みもまた地域を選びません。それなのに、頼れる探偵は特定の都市に偏っている——「地元で探しても見つからない」という体験の正体は、この非対称にあります。
私が探偵を探したときも、通える範囲の事務所がなかなか見つからず、「こんなに探しにくいものなの?」と途方に暮れました。今回の集計を見て、見つからないのは自分の探し方のせいではなく、そもそも近くに少なかったのだと分かって、少し救われた気がします。
地元にいない=調査できない、ではない
ここまで偏りを見てきましたが、大事なのはここからです。地元に探偵がいないことは、調査を諦める理由にはなりません。大手を中心に全国対応の探偵事務所が多くあり、地方の調査にも調査員を派遣する体制を持っています。当サイトの都道府県ページでも、地元の事務所に加えて全国対応の事務所を表示しているのはこのためです。
そのうえで、「地元で探すか、全国対応に頼るか」は次の観点で比べてみてください。
| 観点 | 地元の探偵事務所 | 全国対応の事務所 |
|---|---|---|
| 面談のしやすさ | 事務所で直接相談しやすい | 電話・オンライン相談が中心になる場合もある |
| 土地勘 | 地域の道路や施設に詳しいことが多い | 依頼地域での調査体制・実績を確認したい |
| 比較のしやすさ | 県内1〜2社だと相見積もりが難しい | 複数社を並べて比較しやすい |
| 費用の注意点 | 遠方への調査は出張費がかかる場合がある | 出張費・交通費の扱いを見積もりで確認 |
地元に候補が1〜2社しかない県では、その1社の見積もりが高いのか安いのか、比べる相手がいません。全国対応の事務所を比較の土俵に乗せることは、選択肢を増やすと同時に、相場を測る物差しを持つことでもあります。
慰謝料請求まで進んだ立場から言うと、大事なのは事務所との距離より報告書の質でした。私は複数社に同じ条件で見積もりを頼み、報告書のサンプルを見せてくれた会社を選びました。近さだけで1社に決めなくてよかったと今でも思います。
どちらを選ぶにしても、1社だけで決めず、複数の候補に同じ質問をぶつけて比べることが失敗を防ぐ近道です。地元に候補が少ないからといって、自力で尾行や証拠集めを試みるのはリスクの方が大きいのが実情です。





