「結婚相談所で出会ったのだから、身元はしっかりしているはず」——そう思って活動してきたのに、交際相手の言動にどこか引っかかる。せっかく真剣な場で出会えた相手を疑うなんて、と後ろめたく感じるかもしれません。でも、人生とお金がかかった決断の前に確かめたいと思うのは、後ろ暗いことではなく当然の慎重さです。
結論:結婚相談所は入会時に独身証明書などの提出を求めるため安全性は比較的高いものの、書類が証明するのは「独身であること」など一部にとどまり、結婚詐欺や悪質な勧誘が起こる余地は残ります。危険サインは「お金の話」「急がせる」「素性を見せない」の3つに集約されます。この記事では手口、見抜き方、身元調査(婚前調査)による確かめ方まで解説します。
結婚相談所は安全とは限らない——提出書類がカバーする範囲
一般的な結婚相談所は、入会時に独身証明書・住民票・収入証明・学歴証明などの提出を求めます(求める書類は相談所によって異なります)。この仕組みがあるため、マッチングアプリに比べて既婚者や身元不明の人物は入り込みにくいのは事実です。
ただし、書類が証明する範囲は限られています。
| 提出書類 | 証明されること | 証明されないこと |
|---|---|---|
| 独身証明書 | 現在婚姻していないこと | 交際の目的・過去の離婚の経緯 |
| 収入証明 | 提出時点の収入 | 借金・資産の実態・金銭感覚 |
| 学歴証明 | 最終学歴 | 職歴の詳細・現在の勤務実態 |
| 住民票 | 現住所 | 生活実態・同居の状況 |
つまり、「独身で、収入と学歴に偽りがない」ことと、「結婚する意思があり、誠実な目的で活動している」ことはまったく別なのです。詐欺や勧誘を目的とする人物にとって、書類を整えて入会すること自体は障壁になりません。
結婚詐欺・悪質勧誘のよくある手口
結婚相談所やその周辺で報告されてきた手口には、共通のパターンがあります。

- 金銭の無心型:真剣交際に入った途端、「事業の運転資金」「親の医療費」「一時的な立て替え」などの名目でお金を求める。返済や結婚の話は先延ばしにされ続ける
- 投資・副業勧誘型:「ふたりの将来のため」と称して投資話や副業、高額セミナーへ誘導する。恋愛感情を利用した勧誘は、婚活の場で繰り返し問題になってきた手口です
- 別目的の利用型:宗教やマルチ商法の勧誘目的で婚活の場を利用する。交際が深まってから集まりへの参加を持ちかけられる
- 外堀埋め型:交際を急がせ、親への挨拶や退職・転居など後戻りしにくい状況を先に作ってから、金銭の話を切り出す
共通するのは、恋愛や結婚の話と、お金や勧誘の話がセットで進むことです。真剣交際の段階で金銭の要求が出てきたら、金額の大小にかかわらず立ち止まってください。
婚活中、真剣交際に進んだ途端に投資アプリの話を始めた人がいました。「将来のために一緒に増やそう」という言い方で、悪意に見えないのが怖いところです。結婚の話とお金の話が同時に出てきたら一度立ち止まる、と決めてからは、迷いがずっと減りました。
法律上の「結婚詐欺」とは——罪に問える条件
「結婚詐欺」は日常語で、法律にそのままの罪名があるわけではありません。刑事責任として問えるのは主に詐欺罪(刑法246条)で、結婚する意思がないのに結婚をちらつかせ、お金や財産を交付させたことが要件になります。「気持ちを弄ばれた」だけでは刑事事件にはなりにくく、その場合は貞操権侵害や婚約不履行を理由とする民事上の慰謝料請求が中心になります。
なお、相手が実は既婚者だったというケースは、相談所では独身証明書があるため起こりにくいものの、証明書取得後に婚姻した場合や、相談所外の出会いでは起こり得ます。その場合の法的対処は婚約者が既婚者だった場合の慰謝料請求で詳しく解説しています。
危険サインのチェックリストと自分でできる確認
次のサインが複数当てはまる場合は、慎重になってください。
- 交際初期から金銭・投資・副業の話が出る
- プロフィールと言動に食い違いがある(勤務先、住まい、経歴の話が時期によってぶれる)
- 職場や友人、家族を紹介したがらない
- 会える時間帯や曜日が不自然に限定されている
- 結婚を急がせる一方で、具体的な生活設計の話は避ける
自分でできる確認は、こうした言動を日付つきで記録すること、話の一貫性を時間を置いて確かめること、そして相談所に相談することです。相談所は会員の活動状況を把握しており、不審な行動の報告が複数あれば対応をとる場合があります。ひとりで判断せず、カウンセラーに違和感を伝えることには意味があります。
それでも確信が持てない、でも結婚の決断は迫っている——そんなときは、第三者の目で事実を確かめるという選択肢があります。






